地方都市の衰退が叫ばれる中、野村総研の成長可能性都市ランキングで上位にランクインした鹿児島市。
IT産業の集積、観光産業の発展、そして農業テック分野での革新的な取り組みなど、従来の地方都市のイメージを覆す躍動的な発展を見せており、女性の活躍推進や、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた住環境の良さも、その成長を後押ししています。
本記事では、データと具体例を交えながら、鹿児島市の成長の秘密と、働き住む場所としての魅力に迫ります。
こんにちは！
株式会社Wizで人事責任者をしている荻久保（@ogikubo）です。
地方都市の衰退が叫ばれる中、鹿児島市はなぜ成長可能性都市ランキングで上位に食い込んだのでしょうか？ きっと意外に思う人も多いはず。その秘密を探っていきましょう！
野村総研発表：鹿児島市の成長可能性都市ランキング
全国の都市の中で鹿児島市が高評価を獲得した理由
野村総合研究所による2017年版成長可能性都市ポテンシャルランキングで、鹿児島市は第2位を獲得しました。その理由は以下の通りです。
- 外部人材の受け入れや多様性への寛容度が高く、新しいものを受け入れる風土がある
- 市民の幸福感や街への誇り・愛着が高く、地域コミュニティの成熟度も高い
- 伝統工芸体験や歴史的施設の活用など、地域の歴史や文化に触れる機会を提供している
- 空港、港湾、新幹線駅へのアクセスが良好で、国際会議も多く開催されている
- 生活利便性や居住の快適性が高く、都市の暮らしやすさが評価されている
他の都市を抑え、鹿児島市が上位にランクインした背景には、どのような戦略があったのでしょうか？具体的な取り組みから、その成功の秘訣を探っていきましょう。
鹿児島市の成長を支える取り組み
鹿児島市の成長を支える要因の一つは、デジタル人材の育成に向けた取り組みです。市内のIT企業と連携した人材育成プログラムを展開しており、地域のIT産業の発展と人材の育成が進んでいます。
さらに、創業支援の充実度も高く評価されています。例えば、「創業支援資金」として最大2,000万円の融資が受けられるほか、相談窓口の設置や創業スキル養成講座の実施など、手厚い支援が用意されています。
また、伝統的な農業とIT産業の融合による産業構造の革新も、鹿児島市の強みです。特に、かごしま有機生産組合は、統合環境制御システムやCO₂局所施用技術を導入し、有機苗の供給量を約58倍に増加させる成果を上げています。
鹿児島県と福岡県の成長性比較データ
2021年度のGDPにおいて、福岡県は19兆4,571億円で9位なのに対し、鹿児島県は5兆9,214億円で26位と大幅な差があります。
しかし、鹿児島県は情報通信業において注目すべき成長の兆しを見せています。2023年度の常用労働者数は福岡県3万8,100人に対し、鹿児島県は6,700人で、規模は小さいものの、今後の発展に期待が持てる数字です。
また、野村総研の生活満足度調査では、自然環境と都市機能の調和が高く評価され、福岡市と並ぶ上位にランクインしました。特に、仕事と生活のバランスを重視する若手人材の支持を集めています。
| 調査項目 | 福岡県福岡市 | 鹿児島県鹿児島市 |
|---|---|---|
| 移住者にやさしく適度に自然がある環境で働く | 9位（満足度 1.52 / 3） | 1位（満足度 2.18 / 3） |
| リタイア世代が余生を楽しみながら仕事ができる | 2位（満足度 2.11 / 3） | 1位（満足度 2.13 / 3） |
| 子育てしながら働ける環境がある | 6位（満足度 1.49 / 3） | 4位（満足度 1.83 / 3） |
| 起業スピリッツがあり、スモールビジネスにも適している | 3位（満足度 1.68 / 3） | 19位（満足度 0.64 / 3） |
なんと、あの福岡市と肩を並べるほど、住みやすい街としても評価されているんです。今後の経済成長も見逃せません！
鹿児島県の実質経済成長率は+0.8％予測
株式会社九州経済研究所によると、2025年度の鹿児島県の実質経済成長率は+0.8％と予測されています。 これは5年連続のプラス成長であり、2024年度の+0.4％を0.4ポイント上回る見込みの数値です。
個人消費は賃上げや物価上昇率の鈍化により+0.6％、公共投資は大型工事や国土強靭化事業で+0.8％、生産活動は半導体需要の回復で+1.9％と予測されています。
一方、設備投資は建築コストの高止まりで▲0.6％、住宅投資は資材高騰や金利上昇で▲0.7％と見込まれています 。
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鹿児島市で注目の成長産業と雇用状況
鹿児島市で働くことを具体的にイメージしてみましょう！ まずはIT・デジタル産業から。
IT・デジタル産業の集積と求人動向
鹿児島県では、IT・デジタル産業の振興が活発化しており、ICT活用による中小企業の業務効率化・生産性向上を背景に、県内企業におけるIT人材の需要が高まっています。
IT関連の求人数は増加傾向にあるものの、平均年収は約363万円と全国平均の約509万円と比較すると、やや低い水準にあります。ただし、給与水準は地域によって異なり、霧島市が約490万円、出水市が約489万円、鹿児島市が約374万円と幅があります。
システムエンジニアの求人数は鹿児島市が1,952件と最多で、次いで霧島市が1,074件、薩摩川内市が847件です。
鹿児島県はIT・デジタル産業の集積に力を入れているものの、現状では給与水準が全国平均を下回っている点が課題として挙げられます。しかし、地域によっては比較的高い給与を得られる可能性があるため、今後の更なる産業振興や人材育成によって、給与水準の底上げが期待されます。
観光地としても人気の鹿児島市。観光産業で働く魅力もチェックしてみましょう！
観光産業の発展と雇用創出の実態
鹿児島市は観光産業の再建を重要課題とし、コロナ禍からの回復策を進めています。観光・宿泊客数は回復傾向にありますが、依然厳しい状況です。
雇用面では、観光関連の求人はあるものの、人材確保が困難な状況です。特に宿泊・飲食業では人手不足が深刻化し、安定した雇用環境の整備が求められています。
鹿児島市は官民連携で観光資源の魅力向上や新たなコンテンツ開発、プロモーション強化など多角的な施策を展開。これにより観光産業の活性化と雇用創出の両立を目指しています。
伝統的な農業と最新技術の融合！ 農業テック分野で働くってどんな感じでしょうか？
農業テック分野における革新的な取り組み
鹿児島市では、農業の生産性向上と持続可能性を目指し、最新のテクノロジーを活用した「スマート農業」が進められています。
例えば、ドローンを使った精密農業により、農薬や肥料の最適な散布が可能になり、コスト削減と環境負荷の軽減が実現されています。また、センサー技術を活用した土壌管理システムにより、作物の生育状況をデータで把握し、最適な栽培方法を選択できるようになりました。
今後も、こうした農業テックの活用が広がり、鹿児島市の農業の発展につながることが期待されています。
鹿児島市で働く女性の評価と実態
女性にとって働きやすい環境が整っているのかも、気になるところ。 データを見てみましょう！
女性の平均年収と昇進状況のデータ
鹿児島県における女性の給与水準は、全国平均を上回る傾向にあります。2022年の女性の平均年収は394万円で、全国平均の329万円を大きく上回っています。
年齢別で見ると、40～44歳で376万円とピークを迎え、その後は横ばい傾向となっています。これは全国的な傾向と比較しても良好な水準です。
また、過去3年間の推移を見ると、2020年の381万円から2022年の394万円まで、着実な上昇を続けています。この背景には、地域の経済成長に伴う賃金水準の向上や、女性の活躍を推進する企業の増加があります。
特筆すべきは、男女間の給与格差が全国平均と比べて小さい点です。20代から30代前半では、男女の年収差が40万円程度に抑えられています。このデータは、鹿児島市が女性にとって働きやすい環境を整備していることを示しています。
女性が働きやすい環境づくり、どんなサポートがあるのでしょうか？
働く女性向けの支援制度と実施例
鹿児島市は、女性が働きやすい環境づくりを積極的に推進しており、現在253の企業・団体が「鹿児島県女性活躍推進宣言企業」として登録されています。
企業による具体的な取り組みとして、育児休業取得の促進、女性管理職の登用、キャリアパス支援などが実施されています。また、フレックスタイム制やテレワークの導入により、柔軟な働き方を実現する企業も増加中です。
このような支援制度の充実により、女性の能力を最大限に引き出し、地域社会全体の活性化につながっています。女性の活躍を推進する企業は県のホームページで公開され、イベントや広報活動でも紹介されることで、さらなる取り組みの拡大が期待されています。
地元女性社員の声と体験談
鹿児島市に移住した吉田さんは、東京で理科の先生をしていた際に桜島を訪れ、その魅力に惹かれて移住を決意しました。
移住当初は仕事や人間関係への不安もありましたが、周囲の温かいサポートもあり、鹿児島市役所で移住支援コーディネーターとして活躍しながら、オンライン家庭教師や桜島のジオガイドなども行っています。
吉田さんは移住を検討している人に向けて、「どんな暮らしを送りたいのか」を明確にすること、そして、積極的に情報を集め、実際に足を運んでみることを勧めています。
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鹿児島市で働く魅力とライフスタイルの特徴
生活をするうえで物価や家賃も気になりますよね。気になる生活コストをチェックしてみましょう！
物価と住居費の具体的な生活コスト
鹿児島市の物価は、首都圏と比較して大きな優位性があります。家賃相場を見ると、市内中心部の1Kでも平均4万円台と、東京23区の半額以下で住居を確保できます。
生活コストの具体例として、日々の食費を見てみましょう。スーパーでの食材費は東京の7割程度で済み、特に地元産の野菜や魚介類は新鮮で安価です。外食費も都心部と比べて2〜3割ほど安く、ランチなら1,000円前後で充実した定食を楽しめます。
交通費においても、通勤定期代が首都圏の半分以下という地域が多く、自家用車の維持費を含めても月々の支出を抑えられます。また、電気・ガス・水道などの公共料金も首都圏より割安です。
このように、鹿児島市では首都圏と同等の生活水準を維持しながら、毎月の支出を3〜4割程度抑えられます。経済的なゆとりは、趣味や自己投資に回せる余裕を生み出せるでしょう。
通勤ラッシュは？ 電車やバスは？交通環境はどうなっているのでしょうか。
通勤・交通環境の利便性
鹿児島市の通勤環境は、環境に配慮した利便性の高いシステムが特徴です。
市電やバスなどの公共交通機関が充実しており、主要エリアへのアクセスもスムーズです。市電は市内中心部を走り、天文館や鹿児島中央駅などの主要スポットを結んでいます。
エコ通勤特別割引制度の導入により、環境に優しい通勤手段への転換が進むとともに、電車・バスに徒歩や自転車を組み合わせることで通勤者の健康増進にも貢献しています。
また、市内の主要企業や官公庁が市街地に集中しており、仕事と生活のバランスが取りやすい環境です。徒歩圏内に職場が多く、通勤ストレスの軽減にもつながっています。
仕事終わりや休日は、どうやって過ごせるのでしょうか？
休日の過ごし方と文化的環境
鹿児島市の休日の過ごし方は、雄大な自然と豊かな文化に彩られています。
SHIROYAMA HOTEL kagoshimaの展望露天風呂からは、錦江湾と桜島の絶景を一望でき、日帰り温泉としても利用可能です。雄大な桜島を眺めながらの温泉は、心身のリフレッシュに最適で、仕事の疲れを癒すのに絶好の環境です。
伝統工芸体験施設「奄美の里」では、本場大島紬の着付けや織り体験ができ、地域文化への理解を深められます。
また、地元の食文化も魅力的です。「アートホテル鹿児島」では、錦江湾を望みながら和洋中の本格的なビュッフェを楽しめ、「ホテルユニオン」では鹿児島黒豚を堪能できます。
このように、休日には自然、文化、食を通じて、鹿児島市ならではの豊かな時間を過ごせる環境が整っています。
鹿児島市に関するよくある質問
まとめ
鹿児島市の成長可能性都市ランキングでの高評価は、地域の持続的な発展を示す重要な指標となっています。特に注目したいのは、IT産業の集積による新規雇用の創出や、農業テック分野での先進的な取り組みです。
女性の活躍推進も特筆すべき点で、充実した支援制度と柔軟な働き方改革により、キャリア形成の機会が広がっています。加えて、温暖な気候と豊かな自然環境、さらには比較的低い生活コストは、ワークライフバランスの実現を後押ししています。
課題はありますが、産官学連携による継続的なイノベーションの推進と、地域特性を活かした独自の発展戦略により、鹿児島市は今後も成長が期待できる魅力的な都市といえるでしょう。
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